モノを大切に長く使うことこそリフォームの真意であり、環境負荷を減らすことができるという考えのもと、建築、家具、設備、残置物はできるだけ再利用する。同時に、そこにしかないものを上手く使うことで、そこででしか出し得ない個性を引き出す。(若松 義秀)
張り直した以前の床材(写真上)や、今日の建築では使われない大口径の梁材(写真左)。こんなに大きな無垢の木を建物に使うことは今ではまず難しい。
和室の建具も以前のものを活用。(写真右)
高性能住宅を目指す
燃費の悪い家は、地球環境にとっても居住者の健康にとっても負荷となる。知恵を絞り、現代の技術とテクノロジーを使うことで、築100年弱の古民家を新築物件にも劣らない高性能住宅へ再生する。(若松 義秀)
南側開口にはトリプルサッシを使用。朝から取り込まれた日差しで、冬の午後も暖かく過ごせる。
屋根、壁は断熱材でカバー。(写真右)
古いものを再利用しつつも、古民家を、現在の暮らしに合った機能と構造、そして意匠を兼ね備えた家にアップデートする。
(若松 義秀)
上下階間は大きく開口し、アイアン階段を設置。光や空気、家族の気配がつながると同時に、建築を象徴するオブジェにも。(写真上)
残置材を転用した玄関を入ると現れる大きな上がり框も古民家ならでは。(写真下)
手間を掛けることで愛着が湧き、手を動かすことで理解が深まるよう、生涯付き合いながらアップグレードしていく道具として家と向き合う。(若松 義秀)
風呂は、手作り造作の一つ。(写真下左右)
「リフォームの本質的な意義はつまり、引き継ぎ大切に長く使うことだと思うわけです。」
(若松 義秀)
購入した古民家は板葺きの蚕室として建てられ、ある時期から瓦葺きの住宅に用途が変わっている。実際、水回り(キッチン/風呂/トイレ)は全て下屋として母屋に付加され、母屋はシンメトリーでシンプルな構造。
ほとんどの部屋が襖と障子で仕切られていて、南面と北面にはかなり数の開口が並んでいた。これらの特徴は蚕室造りの典型であることから、購入物件は母屋の構造を組み換えるような改修はなされず、古い構造はそのまま引き継いでいるということになる。」(若松 義秀)
古民家取得時の内外観